COBOL技術者の憂鬱

COBOLプログラマは不在にしています

二つのセリフ

今日は、最近よく頭の中に思い浮かんでくる二つのセリフについて書こうと思います。
どちらも、フィクション作品の中に登場する言葉なのですが、作品に触れた時から私の心の襞にずっとひっかかってしまっていて、どうも外れなくなってしまっているようです。



○「これ以上、自分を嫌いになりたくない」
これは、「闇金ウシジマ君」という漫画の「サラリーマン君」編の中で、ラストシーンのところで主人公の親友が口にするセリフです。
どんなストーリーだったかはあまり詳しく憶えていないのですが、主人公の親友が、よく主人公からお金を借りていて、そのことが原因で友情にもヒビがはいっていってしまうという、その過程を追っかけていくものだったような気がします。
最終的にこの親友君、ヤクザがらみの犯罪に加担するハメにまで陥ってしまい、主人公を巻き込んで取り込み詐欺を実行することをヤクザから強要されることになります。
けれども最終的に親友君は、主人公に対して脅しをかけることができずに、そのまま別れてしまいます。
そのやり取りを物陰から監視していたウシジマ君から、「どうして脅さなかったんだ?本当にオマエこのままだとヤクザに殺されるぞ」と問い詰められた際に、歯をガチガチ震わせながら答えたのが件のセリフなのです。
物語冒頭からこのラストシーンにかけて、親友君のダメ人間っぷりがわかる行動のみをひたすら描写しておきながら、物語全体を通じて実は根底に流れ続けていた彼の心の内面を、この一言でさらりとさらけ出してしまうという、その手法に心底シビれてしまいましたね。
自分ではなかなか気づきにくいのですが、自分のことが嫌いだという人、この世の中には結構多いと思います。生きるか死ぬかの局面に陥ることで、初めてこの親友君は、ずっと自分のことが嫌いだったことに気づくのです。そして、これからもさらに嫌いになり続けていくことを拒否して、自ら死を選ぶのです。
我々サラリーマンにとっては、身につまされるようなお話ですね。



○「好きな自分を生きてみる」
これはかなり以前に公開された「ガールファイト」という洋画のキャッチコピーだったかと思います。
で、この映画実は私まだ観ていません。ずっと気になってはいるのですが、なかなか観る機会がなくてずっと今まできてしまっています。
で、「観もしていない映画」について想像でこれから語ってみようと思います。(最近暑いからちょっと頭湧いてきているのかもしれませんね。)
ストーリーは、ある女の子がボクシングを始めてどうのこうのというお話らしいのですが、女子ボクシングってあまり一般的ではありませんよね。というよりほとんど観たこともないです、私は。
そういうのって「女性とは格闘技なんかするものではない」みたいな世間一般の価値観からきているわけで、でも主人公の女の子はそれに抗って、ボクシングで生計を立てようとチャレンジしてみるのです。そこで件のキャッチコピーにつながっていくわけですね。
これも、先程の話と同様に、普段ダラダラと生きているうちはなかなか気づきにくいことなのですが、知らず知らずの内に「嫌いな自分」を生きている状態に陥っていることに、主人公はボクシングと出会ったことで初めて気づいてしまうのです。
生まれて初めて、自分が打ち込めるものに出会うことができて、それは社会的な価値観とはとても相容れないものだったけれども、敢えてその世界に飛び込むことで、「好きな自分」を生きるという、ステキな状態に到達することができたのでしょう。



以上、自分を嫌いになりたくないから死んでしまった男の話と、それとは真逆に、生きてみた女の子の話でした。



私ももう、これ以上自分を嫌いになりたくない。
そして、死ぬまでにたった一度だけでいいので、好きな自分を生きてみたい。