COBOL技術者の憂鬱

COBOLプログラマは不在にしています

リア充の悲しみ

私の学生時代は、とある体育会系のクラブに所属していたのですが、そこでとてもお世話になっていた先輩から、ようやく入籍したという知らせを先日受け取りました。
彼は今年で40歳になるはずだから、ギリギリ30代でのすべりこみ婚というやつですね。
この先輩というのが、結構私の中ではすごく大きな存在で、まぁ俗に言うとリア充的な感じの方で、私とは正反対のタイプの人間なので、そういう意味で憧れ的な感覚から大きな存在だということです。



先輩は、学生時代のクラブ活動の中では、役職的にはマネージャーというのをやっていたのですが、それこそクラブ活動全体の管理運営やら、他クラブや他大学との対外交渉やら、技術面での後輩への指導は元より、自らも選手としてチームの勝利に貢献するなど、とにかくありとあらゆる面で一般人から秀でていて、それでいてルックスも、スラッとした背の高いさわやかさっぱりスポーツマンといった感じで、もう本当にこれが先輩後輩という関係ではなかったら爆発させてやりたくなるくらいの、リア充的なお方でした。



先輩が社会人になって勤めだしてからは、アパレル関係の仕事をやっていたのですが、ああいう業界って、周囲はキレイな女性ばかりの中で仕事をすることになるようですね。
一度、その職場での飲み会時の写真を見せてもらったことがあるのですが、非常にファッションセンスの高い、化粧とかもキチンとできるような感じの、素敵な女性に囲まれて楽しそうにお酒を飲んでいる先輩の姿が写しだされていて、もうなんなんだこいつはって感じでした。



さて、そんな彼が、40歳になるまで独身だったというのは、決して引く手あまたでお相手の女性を選びきれなかったというわけではなかったそうです。実はその正反対で、どうも長い期間お付き合いされている方もおらず、裏では風俗王と呼ばれていたようで、そこがちょっとどうしても信じられなくて、私の中では世の中の七不思議の一つになっていたんですね。



それがなぜなのか、ちょっとだけ考えてみたのですが、おそらく、周囲にキレイな女性が多いということは、その女性たちは、彼氏がいる可能性が非常に高いし、彼氏いない期間もものすごく短いタイプの人たちばかりなのでしょう。
つまり、男性からすると競争率の非常に高い女性としか知りあうきっかけがなかったということで、出会いはあるんだけれども、それを有効に活かすことがとても難しい世界で生きてきたんだろうなと思わされます。
また、そういう場所にいると、必然的に目が肥えてくることになり、理想が高くなってしまうんだと思うんですよね。よけいに一般的な普通の女性では納得いかなくなってくるというか、心情的にはそんな感じだったんじゃないかなと思うんです。



そんなわけで、リア充ってなかなか傍から見ているほどラクではないんだなーと思っていたんですが、一度だけ、彼の凄いところを見てしまったエピソードがあるのです。
それは、その昔、男ばかり3人で香川に旅行にいったことがあるのですが、その中に件の先輩もいました。
あれは有名なうどん屋さんでうどんを食べて出てきた時に、目の前で、若いカップルの男の子の方が女の子の写真をカメラで撮ってあげようとしていた場面に遭遇したのです。
その時は、私たち3人共が、彼女いない暗黒時代だったので、私なんかは彼らのそういう仲睦まじい光景を目にしてドス黒い感情をおぼえてしまいました。当然、他の2人もそうなんだろうなと思っていたら、何を思ったかその先輩、ツカツカとカップルに近づいていくではありませんか。「おっ、ケンカでも売りにいくのかな?それはさすがにキャラ違うでしょう?」と心のなかで思いながらどうなるのか見ていたら、先輩は、めっちゃさわやかな感じで、「よかったら、お二人の写真お撮りしましょうか?せっかくだし…」と声をかけたのです。



男ばっかり3人でむさ苦しい旅の道中で、自然とそういう態度をとれるこの人って、やっぱり凄いなー常人とは違うぜーと思った瞬間で、このあたりがリア充の余裕なのかなと思わされてしまったエピソードでした。
自分がどんなに困難な状況に陥っていたとしても、決して幸福な人たちに対してルサンチマンを抱かずに、余裕でスルーして常に前向きでいられること。これって、口で言うのは簡単なんですが、なかなか態度に出すことなんてできることではありません。こんなことが自然にできる人が、幸せになれないはずがなく、この度晴れて風俗王脱出、じゃなかった、ご結婚されて本当に嬉しいです。心より祝福差し上げます。