COBOL技術者の憂鬱

COBOLプログラマは不在にしています

ゾンビゲームの明暗

最近どうもゾンビをテーマにしたゲームが流行っているようで、コアなPCゲーマーである私のアンテナにも、このテーマのゲームが引っかかってくるようになってきました。
そんな中、バイオハザードの最新作がリリースされているということを知り、ちょっと気になったので入手してみました。
思い起こせば、このシリーズを最後にプレイしたのは10年ほど前のことなので、懐かしさと期待が半分ずつくらい入り交じった気持ちでやり始めました。
ところが、いつまでたっても、ゲームの世界にのめり込むことができないのです。ぶっちゃけ、あまり面白いとは思えないというのが正直な感想でした。
昔あれほど夢中になってプレイしたゲームの続編なのに、なんなんだろうかこの違和感は…と思いながら、その原因を冷静に考えてみました。



昔のバイオは、一つの場面に多くても2〜3体くらいしかゾンビが登場せず、それもズルッズルッ…とゆったりした動作で歩くものが多かったように思います。また、画面の隅の方にチラッと何かが現れて、すぐに姿を消したりとか、「え?今のなになに?」的な怖さとでもいいましょうか。「ニッポンの怪談」的な要素に満ち溢れていたように思います。
最新作では、そういった要素は完全に一掃されていて、群れをなして高速で襲いかかってくるゾンビ共をバッタバッタとなぎ倒しながら進んでいくというスタイルに変わってしまっているんですね。
そして、大量のゾンビがわらわらと攻めて来るということは、昔のバイオと比べてかなり難易度が上がっていてもよさそうなものですが、そのわりには、なかなか主人公が死なないようなシステムになっていて、プレイ中の緊張感が皆無に近いのです。
怖くもないし、緊張感もない。これをホラーアクションゲームと呼んでしまってもよいのかどうか疑問に思ってしまいました。
「姿の見えない敵におびえながら、少ない弾数をやりくりしつつ、死の恐怖とひたすら戦い続ける」というゲーム性から、「大勢で群れをなして襲ってくる敵に、マシンガンやロケットランチャーを打ち込みつつ、爽快感を味わう」というふうに大幅に変更されているのですから、それは当然でしょう。
一体どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。



私が思うに、10年ほど前の非力なゲームマシンでは、一度に多数の敵キャラクターを描画することが難しく、またそれらを高速で移動させることもできなかったため、バイオは必然的にああいったゲーム性に落ち着くことになってしまったのではないでしょうか。
結果として、そこからあれほどドキドキするようなゲームが生まれることになったわけですが、時代は流れ、ありったけの敵に素早い動作をさせることが可能になった現代で、それをそのままゲームシステムへ反映してしまった結果、ゲーム本来の持つ独自の面白みが失われてしまっているのではないかと思うのです。
主人公がなかなか死なないという点については、昔と比べてゲームのカジュアル化が進んだ結果として、「高難易度のゲームは敬遠される」というところからきているような気がしますね。ゲームの開発費が高騰している現代では、制作費を回収する為に、幅広い層に売れないといけないという前提がありますから。



そんなことを考えている内に、同じゾンビをテーマにしたゲームで、最近大ヒットしているLEFT4DEADのことを思い出しました。
このゲームについては、どういうわけか始めるタイミングを完全に見失っていたのですが、先日初代が7ドル程度で安売りされていたので、試しに買ってプレイしてみたのです。
「あーもう、どうせまた大勢のゾンビ集団に弾をばらまくゲームかー」というようなノリで、あまり気乗りしないまま始めたのですが、少しプレイしただけで、「面白い!なんだこれは?」と叫んでしまいました。
オンライン上のプレイヤーと協同でプレイするシステムになっているのですが、協同プレイに特化することで、ゲーム全体に渡るバランスが徹底的に追求されているんですね。つまり、一つの場面で、どのくらいの強さの敵をどういうタイミングで何人くらい出現させるか?というところのアルゴリズムが考え抜かれているのだと思うのです。
ゲームに参加しているプレイヤー4人が、常にドキドキハラハラできるように、コンピュータ側で「計算して」緩急をつけているんですね。
こういうことは相当テストプレイに時間を割いていないとできないような気がするのですが、おそらく間違いなく開発はテスト駆動型でやっているんでしょうね。



バイオとL4Dを比較してみると、高度なテクノロジーを利用したからといって、必ずしも面白いゲームができるわけではないということを改めて思い知らされます。まぁそれはファミコンの時代から言われ続けてきたことなのですが、この時代になってもやはり同じことなんだなと思います。
ゲームの難易度についても、一般受けを狙って単純に易化させるのではなく、個々のプレイヤーのレベルに応じて自動的に調整するような仕組みにすることも重要ですね。簡単なことではないと思いますが、ありあまるコンピュータリソースはそういうところにつぎ込んでいけばよいのではないかなと思います。