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COBOL技術者の憂鬱

COBOLプログラマは不在にしています

万能スパイカメラ

私は、ケータイに関しては古参のwillcomユーザーなのですが、この通信事業者は、昔からフルブラウザ搭載の端末を出したり、今でいうスマートフォンのはしりのようなものを積極的にリリースしたりと、かなりアグレッシブなことをやってくれるので、そこがとても気に入っていました。
W-ZERO3に初めて触れた際には、携帯デバイスにOSが載っていて、そこから「電話」というアプリケーションを起動して電話するということをやっている自分に酔いしれていたことをよく覚えています。まるでお弁当箱のようなドデカイ端末を使ってドヤ顔で電話している私を見た周囲の人間からは、失笑を買っていたことも今となってはよい思い出ですね。
で、そのwillcomなんですが、倒産扱いとなってからはスマフォがリリースされることもなくなってしまい、ガジェット好きな私はとても困っていました。
ところが先日、DellStreakというデータ通信専用のAndroid端末と、音声通話専用のPHS端末を抱き合わせ販売するという作戦を打ち出してきて、それに乗っかる形でようやく私も最近のスマフォに触れることができる身分になれたのです。



で、まぁ一ヶ月ほど使ってみたわけですが、すごいですよねこれ。
インターネット端末としての機能以外に、ゲーム機・デジカメ・デジタルビデオカメラ・音楽プレイヤー・ボイスレコーダー・地図・カーナビ・本・漫画・ムービープレイヤー・スケジュール帳などの基本的な機能は元より、ありとあらゆる機能を必要に応じてアドオンできるようになっていて、とりあえずこれ一台持っていれば日常生活で困る場面なんてほとんどないのではないかと感じさせられるほどです。
デバイスや通信環境自体のスペックもすばらしく、自宅のデスクトップPCからインターネットアクセスしているのとなんら変わりのない感覚で、外出先からネットにアクセスできるようになっています。こんなことを書いていると、今頃何を驚いているのかと笑われてしまうかもしれないのですが、ついこの間まで非力なデバイスと通信環境を使用していた私にとって、この自宅と外出先のシームレス感は非常に素晴らしいものだと感じさせられましたね。
最近では、就寝時のレム睡眠とノンレム睡眠の状態をグラフで記録しておいて、朝になったらGoogle+に自動アップロードしたりと、変態的な使い方をして楽しんでいます。



ところでさっきちょっと、販売形態のことで触れましたが、このDellStreakという端末、あくまでもデータ通信専用なので、電話をかけることができないんですね。どうやら電話番号は割り当てられているようなのですが、その機能は出荷時に殺してあるようなのです。電話回線を使った音声通信については、あくまでも、おまけでついてきたPHS端末でやってくれということなのでしょう。
そこで思い出したのが、子供の頃に読んだ、星新一のある短編小説です。
あるスパイ組織の施設で、上司と部下が会話をしているだけの話なのですが、まず上司から部下に対して、敵組織に潜入して機密情報をカメラに収めてくるというミッションが下されます。
その際に上司から、「これ、今度うちの組織で開発した新型のスパイカメラだから、持って行け」と言われます。
なんか武器として使えたり、小型の酸素ボンベがついていたりとか、いろんな機能が搭載されているわけですが、「これってどうやって写真を撮影するんですか?」と部下が尋ねると、上司は「その機能を付けるのを忘れていたよ、このポケットカメラ貸してやるからこれ使え」と言われるわけです。



この話の教訓って、機能追加に気を取られるあまり、一番肝心なモノが抜け落ちてしまうという、人間の愚かさを皮肉っている点にあると思うのですが、これを読んだ子供の頃の私でも、「こんなアホな奴いねーよ」的な感想を持ったのを覚えています。
しかし、あれから20年以上経った今、現実に、電話のできない電話を使っている自分を客観的に見てみると、どうも笑えなくなってくるのです。
私が趣味で作っているWebアプリケーションも、機能についてはできるだけシンプルさを保つように心がけていて、機能追加について悩むよりも、逆に機能を削ることができないかどうかで悩むことが多いのです。あるいは、削ることはできなくても、他の機能と統合することはできないかなどと、常に自問しながら作り上げるようにしています。
それは、子供の頃に読んだ、あの小説のことが無意識に頭に残っているからなのかもしれないなぁと、新しいスマフォをいじりながらなんとなく気がついてしまったのでした。